個性の薄らぎ
1/6 | F1.4 | 30mm | ISO400 | -2.7EV
初めて手にしたのはウッドのラケット。
すでにメーカー間の素材競争は始まっていて、アルミやグラスファイバーにカーボンも出始めていたが、「テニスを始めるのなら木製」というのが至極一般的な時代でもあった。
ブラックエースで炭素素材ラケットの世界を知ってしまって以降、ボクは硬いラケットの恩恵を誰よりも享受してきたかも知れない。回転をかけながらネットを越すことなんて雑作も無い。ことさらに踏み込まずともボレーは深く返って行く。面を作って少しアンダースピンをかければ高くて深いロブが飛んで行く。乱暴に怠惰に適当に打っていてもそれなりにテニスになってしまう。まさに驚きだった。
硬くて面が大きいだけでなく、フレームが恐ろしく厚いラケットが出始めた頃に、一度ボクのテニスはフェードアウトする。あのまま細々とでもテニスを続けていたならば厚ラケの魅力に取りつかれたかも知れない。そしてもっとラケットに頼った無精なテニスに流されてしまったかも知れない。
個性的プレースタイルのプロテニスプレーヤー達、強烈なフェロモンを放つ魅力的なラケット達。今よりも様々なモノが洗練されていなかったのかも知れない、でもプレーも道具も個性が尊重され光りを放っていた。
時を経てサンプラスの大団円、フェデラーの台頭という時にテニスを再開した。時代はすっかり変わりプロテニスはベースラインから激しく打ち合うだけの単調な格闘技になっていた。
当然ラケットも変貌を遂げていた。聞き覚えの無い素材やギミックが満載でスペックにこだわり抜き、微に入り細に入るラインナップを誇り、バージョンアップを繰り返す優秀なデジタルガジェットのような存在になっていた。ただ優秀さの引換えに1本1本の明確な違いも希薄になっていた。
ラケットメーカーの個性、ラケットの個性はすっかり薄らぎ、ラケットの開発サイクルも短くなり、1本のラケットに愛着を抱く暇さえなくなってしまっていた。
軽く硬く......穴を穿ったり変わったグロメット使ったり、フレームの厚さを変えたり、バランスを変えたり、チップだ、磁力だ......でもなんかどれも一緒だ。そう変わらない。
新しいラケットに心躍らせることもなくなった。
もう新素材で革新的な打球感なんてことはあり得ない。20年前のような天地がひっくり返るような新素材なんてもう無い。ラケットで自分のテニスが大きく変わるような、そんなアクの強いラケットはもう殆ど姿を消してしまった。
自分が本当に望んでいるラケットってどんなんだろう?みんなに本当に望まれているラケットってなんだろう?
きっとラケット1本1本に込められた強烈な個性、メーカーの揺るがない個性なんじゃないのかな。他のラケットとは全く違う何かを持ったラケット、全く違う思想を持ったメーカー。
5年でも10年でも使い続けられるラケットなんてメーカーの利害と相反するかも知れない、でも「あのラケットをいつか使いたい、ずっと使いたい」「あのメーカーのココが好きだ、これがあるからあのメーカーが好きだ」っていうのが無いとテニスも何だかつまらない。
玉石混交のあの時代、でも確かにラケットの個性はあったんだよなぁ。
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コメント
道具って奴は・・・
進歩しるんだかしていないんだか・・・
大昔の木ラケの方が気分よくテニスできてしまったりすることもあったりするんだからシロートにはよく分らん世界です??
(ト~ゼン今ラケには歯が立つ訳はありません;;;)
でも、色々選べる今の時代もまたいいじゃありませんか~♪
投稿: ノブ | 2008.07.23 22:40
■ ノブさんへ
おぉビンテージラケットを愛でるオトコのご登場でございますな(^^)あなたのウッドラケットの使いこなし、見事でございます。
ラケットは進歩して、色々選べる時代。それはそれで良いと思います。
が、半面、愛好家のラケットへの愛情が年々薄らいでしまっていくような気がしてます。「コレがダメならアッチでイイや」的な使い捨て的な風潮に。
自分にパーフェクトにマッチするラケットなんて無くて当たり前。道具の使いにくさも含めてテニスと取り組んでいた時代の方が楽しかった気がしてなりません。
投稿: 丁稚 | 2008.07.25 11:00