【3rdレビュー】SIGMA 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM 〜 FLDとは? 〜
相変わらず良い作例が撮れていないのですが『SIGMA 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM』のレビュー3回目。
【レビュー前】スペシャリスト達を誇り、守りたい
【1stレビュー】SIGMA 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM
【2ndレビュー】SIGMA 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM
前回は広角レンズ特有のものである「デフォルメ効果」が、SIGMA8-16mmでどのくらい得られるか作例を交えてご紹介しました。今回は「パースペクティブ効果」をと考えていますが、その前にSIGMA8-16mmに採用されているFLDについて書いてみたいと思います。
■ FLDってなに?
商品詳細ページより転載
レンズってのは一枚のレンズで出来てるわけじゃなくて、数枚から十数枚のレンズを組み合わせて出来ていますよね。このSIGMA8-16mmの場合は、様々な形や特性のレンズを実に(11群)15枚も組み合わせて設計されています。
『FLD』とはその組み合わされるガラスレンズのひとつですが、従来のガラスとは全く異なる特性や利点を持っています。
FLDガラスとは、従来のガラスと比べて屈折率と分散性が極めて小さく、異常分散性が高いといった蛍石と同等の性能を持つ、透過性に優れた最高水準の超低分散ガラスです。この性質を利用して、従来のレンズでは取り除くことができなかった残存色収差=二次スペクトルを徹底的に除去し、極めてシャープでコントラストの高い優れた描写を実現しています。 / 商品詳細ページより転載
低分散ガラス?...いやぁ難しい単語がいっぱい出てきますなぁ。要は色収差(レンズで像をつくるときに、光の波長によって像にずれを生じること)を解決するための素材であるということかと思います。被写体の輪郭の外側が青や緑に色付いちゃったりするアレでしょう、きっと。
輪郭がぼやけると被写体が際立ちませんし、なんだか眠〜い描写になっちゃいますわな。レンズメーカーとしては意地でもその収差は抑えこまねばなりません。従来ならば、上の文章中にもあるように色収差を解決するために『蛍石(ほたるいし、けいせき、fluorite/フローライト)』を用います。
蛍石は軽量で透過率や屈折率の波長分散が極めて小さく、透過波長領域が広い。通常の光学ガラスと組み合わせることで非常に色収差の少ない光学系を作ることができる / 蛍石レンズwiki
ところが蛍石レンズの欠点として...
高価(単結晶を光学材料として使用するため大型化が困難)である、傷が付きやすい(研磨作業が難しい)、急な温度変化に弱い、潮解による曇りが生じやすい、コーティングが難しい等が挙げられる。 / 蛍石レンズwiki
なるほど色収差を抑えこむには蛍石レンズが最上だが高くて加工も難しいとありました。そこで庶民の味方であるSIGMAは蛍石レンズと同等の性能を持つFLDを新規開発!そして採用してくれたというわけです!同等の性能でお安いのなら最高じゃありませんか!ありがとうSIGMA!
このFLDはSIGMA 8-16mm F4.5-5.6 DC HSMに4枚、SIGMA APO 70-200mm F2.8 EX DG OS HSMに2枚、SIGMA 17-50mm F2.8 EX DC OS HSMに2枚採用されていて、開放でも周辺部に至るまで良好な色収差補正を行い高性能化に寄与しているとのことです。(参考リンク:新光学ガラスFLD(”F” Low Dispersion)について)
■ FLDの真価やいかに!
さてさっそく、いかにも色収差が出そうな作例でFLDの真価を探ってみます。
1/320 | F6.3 | 8mm | ISO100 | +0.7EV
8mm(35mm判12mm相当)の画角ですと、目の高さではどうにも桜を絵にしにくくて、結局いつものように幹に寄り添って見上げる構図で撮った一枚です。主役は花じゃなくて無骨で力強い枝ぶりっていう撮り方ですな。
撮影モードはいつも通りPモードの分割測光、ピントは手前の太い幹。太陽とガチンコ勝負の真逆光なので、少しは花の色が出るようにプラス補正。賢いK-7は一絞りして撮ってくれました。(K-7の補正機能はすべてオフ)
中央部
被写界深度が深い超広角とはいえアウトフォーカス部分ですので、こんなあんばい。
左上隅
少し色収差が出てますね。
1/250 | F6.3 | 8mm | ISO100 | -0.7EV
撮影・測光モードは同じ。広角端で手前の赤いキャップの少年にピント合わせてパチリ。今度も逆光気味ですけど、桜の色を濃く出したかったのでマイナス補正。(K-7の補正機能はすべてオフ)
ピント部
右上隅
もう何段か絞ったら結果はまるで違うかも知れませんが、1段程度の絞り込みではやはり四隅、それも細かい枝とか色収差出ますね。あと非点収差っていうのでしょうか?外側に像が流れる感じは強く出てますね。まぁこの焦点距離だし、そりゃ無理だわな(^_^;)酷ってもんです。
今度はテレ端16mm(35mm判24mm相当)でF8まで絞ってパチリ。風や手ブレで桜を精細に撮る事はできませんでしたが、クッキリとスッキリと写してくれてますね。なんといっても空の青さが素晴らしい!太陽を背にして晴天の空を写すと、PLフィルターを使ったかのような濃い青が出るんですな!もう〜好き!
右手前の電信柱と電線
んで周辺部。この電線とかめっちゃくちゃ色収差出そうですが、ほぼ出ていないと思います。ちょいと青が出てる気がしますが、手持ち撮影ですからモヤッとした感じは手ブレかと思います。テレ端ですと周辺の像が流れる感じは解消されますね。
収差が出やすいのはきっと広角端ですが、風景撮りをしないので広角端で絞り込んだ作例がなくてすみません。でもテレ端では開放から1段絞っただけでほぼ収差が出ておりませんし、広角端でも三脚を立ててF8〜F11ぐらいまで絞れば色々な収差は解消されるかも知れません。
■ 各収差は良好に抑えこまれている
FLDの効果かどうかは素人のボクに判断出来かねますが、他に類を見ない8mmという焦点距離からのズームレンズなのに、各収差は上手く抑え込んでいるように感じます。
今やカメラや画像ソフトで色収差はデジタル処理で解消できますし、個人的には100%手持ちで近景のスナップを撮るばっかりですから、色収差が周辺部に出ようが全く気になりません。周辺部の像が流れる非点収差は少し気になりますけども、少し絞り込めば目立たなくすることもできそう。
多少出る各収差よりも、1週間ほどこのSIGMA8-16mmを使ってみて「被写体も背景もコントラストが高くて色乗りも良くて、ホントにスカっと気持良く写るレンズだなぁ」という魅力の方が優っています。
追記:書き上げて読み返して矛盾に気づきました。スカっと気持ちよく写る = 抜けが良い = 収差が少ない!!! ってことじゃありませんか!つまりFLDの効果は絶大に現れているということになるじゃありませんか。ドでかいプリントをするわけでもないのに、等倍でレンズを語ろうなんて身の丈に合わないことするんじゃなかった...orz
1/60 | F5.6 | 16mm | ISO100 | iPhotoで編集
逆光にも強いし、空は青〜く写るし、このレンズにも慣れてきましたし段々作例を撮るのが楽しくなってきました(^^)SIGMAのレンズ設計に関わるスペシャリスト達、本当に素晴らしい仕事してると思うなぁ。
撮るのが楽しくなってきたし次回こそは『パースペクティブ効果』を(^^ゞ
がんばれ、日本
がんばれ、東北
がんばれ、日本の工場
昨夜も大きな地震が東北地方を襲いました。こらえ続けるのも限度があるでしょうね。せめて原発の不安が終熄してくれれば....
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![]() インナーフォーカスやHSMを備えたAPS-Cデジタル一眼レフカメラ用超広角ズームレンズ(最短撮影... |
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