【8thレビュー】SIGMA 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM 〜 このレンズでしか得ることが出来ない特別な一枚を 〜
【レビュー前】スペシャリスト達を誇り、守りたい
【1stレビュー】 〜 職人達が夢を実現したレンズ 〜
【2ndレビュー】〜 外観とデフォルメ効果 〜
【3rdレビュー】〜 FLDとは? 〜
【4thレビュー】〜 強烈なパースで超広角らしさを堪能 〜
【5thレビュー】〜 フィルム一眼で使ってみた 〜
【レビュー番外】 〜 一本の大木 〜
【6thレビュー】〜 サクラに挑戦編 〜
【7thレビュー】〜 ひとりのフォトグラファーをお手本に子供撮り 〜
『SIGMA 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM』のレビューの8回目。
SIGMA8-16mmのレビューにあたり、生意気にもWillViiさんを通してSIGMAに質問を投げかけてみました。いやぁとんでもないことですよ、アルファブロガーならいざ知らず、底辺ブロガーなのに(^_^;)
■ 世界初の超広角ズームレンズ商品化を決定するまでの葛藤。
■ 世界初の超広角ズームレンズ商品化決定から製品になるまでご苦労なさったこと。
■ 8-16mmを製造する上での難しい工程。
■ スペシャリスト育成のモットー
こんなボクの質問に対して、SIGMAのご担当者さんは以前ユーザーに宛てたひとつのメルマガ(SIGMAからユーザーに宛てて定期的に発行しているメールマガジン)を紹介してくださいました。そこには「8-16mm F4.5-5.6 DC HSM レンズ開発物語」がしっかり書かれていました。
うっ(ーー;)ユーザーとしてSIGMAのメルマガ登録してあるんだった。毎号ちゃんと読んでいれば、あんな恥ずかしい質問を投げかけなくて済んだのか....orz
さておき。ブログ転載も快諾してくださいましたので、自分の質問と照らし合わせながら紹介させていただきます。
■ 世界初の超広角ズームレンズ商品化を決定するまでの葛藤。
●歴史的背景
シグマでは、2003年に35mm一眼レフ用に広角側の画角が120度を超える超広角ズームレンズ12-24mm F4.5-5.6 EX DG ASPHERICAL/ HSMを開発しました。その後、APS-Cサイズのセンサーを持つデジタル一眼レフが市場で数多く流通するに従い、APS-Cサイズ専用超広角ズームレンズとして、10-20mm F4-5.6 EX DC/HSM、10-20mm F3.5 EX DC HSMを開発してきました。さらに、APS-Cフォーマットのデジタル一眼レフ専用レンズでも、画角が120度を超えるズームレンズの開発が待たれていました。
『APS-Cフォーマットで120度を超える画角を実現したい!実現するのは我々だ!』という姿勢が見えてきました。難しい製品を商品化決定までに葛藤などは存在せず、ただそこにあったのは『夢』と『使命感』だったんですね。このチャレンジする気持ちこそがSIGMAの社風だと分かってきました。
■ 世界初の超広角ズームレンズ商品化決定から製品になるまでご苦労なさったこと。
■ 8-16mmを製造する上での難しい工程。
●開発に当たり苦労した点
最も苦労したのは、デジタルカメラで問題になる周辺光量の改善でした。周辺光量を改善するにはレンズ径を大きくする必要があるので、大口径でありながら曲率が大きい第1、第2負メニスカスレンズの加工が困難になり、さらに十分な光学性能が得られません。そこで2枚目のレンズを非球面化することで性能改善を試みましたが、非球面レンズの加工条件が限界になるという問題がありました。さらに、周辺光量を改善するには、マウント側に配置される後群のレンズ径も同時に大きくする必要がありました。しかし、レンズ径を大きくして周辺光量を確保すると、今度は画面周辺部の収差補正が困難になってしまうため、レンズ構成の大幅な見直しが必要になりました。このように様々な条件をクリアする為、曲率が大きな多数のレンズ形状をコントロールして加工条件の限界まで追い込み、多種の最新ガラスを採用し、さらにレンズ構成を見直しました。この事により、周辺光量と周辺性能の改善の両立を高いレベルで出来たと考えています。
撮像面の大きい35mmフルサイズで実現できていても、より小さい撮像面の小さいAPS-C規格で120度超の広画角を実現するには、全て新たに設計し直さなければならなかったわけですね。
『周辺光量の確保』と『収差補正』の両立は相当に困難だったようですが、『限界の加工』と『最新ガラス"FLD"採用』で高い高いハードルを乗り越えたと。そこに辿り着くまでの試行錯誤や苦難は想像に難くありません。
周辺光量落ちが気になるような写真は撮りませんし、色々な収差が出てもほぼ日の丸構図なボクにはあまり関係ありませんが、推奨されない35mm判カメラのイメージサークルまでもカバーできるレンズです。APS-C規格の周辺部まで良好に撮れてしまうのは当たり前です。余裕が違います。
■ スペシャリスト育成のモットー
●開発者から一言
このレンズは、ズーム全域で画面中心から周辺まで均一性の高い描写性能が得られます。しかし、それだけでなく画角の広さ、遠近感については普通のレンズでは得られない、このレンズだけの特別な画が手に入ると思います。使いこなしは難しいかもしれませんが、皆さんにはこのレンズでしか得ることが出来ない特別な作品を1枚でも多く残して頂くことを期待しています。
●山木社長のつぶやき
「このレンズは広角ズームのスペシャリストが設計した作品です。彼のここ10数年の様々な経験や努力が成果となって現れているかもしれません。」 / Twitterより抜粋
●若き技術者の言葉
「経験が少なくても仕事を任せてくれる環境にも恵まれている」山本幸広(2007入社 : 光学技術部) / 社員インタビューより抜粋
●シグマの理念
発想と実現のあいだをつなぐ「創造的技術力」の源泉をなすのは、技術・知識・経験・英智の「総和」。社名「Σ」の由来でもあるこの理念を原点に“より良い製品を、より多くのみなさまのもとへ”届けたいと願っているのです。 / シグマの理念より抜粋
育成なんて言葉を使って恥ずかしくなりました。そんな安っぽい繋がりじゃなかったんです。
夢と希望を抱く社員をどこまでも信頼し、後押しをする。そして会社から信頼され後押しされた社員は期待以上の作品を生み出そうと弛まずに努力を重ねていくと。社員ひとりひとりの自己実現こそが、SIGMAがSIGMAたるための大きな原動力なのですね。
発想と実現のあいだをつなぐ「創造的技術力」の源泉は、技術・知識・経験・英智の「総和」である。そして技術・知識・経験・英智を最大限引き出すには『信頼』がひつようなんですね。
どのメーカーも実現できなかった広角端8mmの超広角ズームレンズを生み出した高レベルなスペシャリスト集団は、常に信じられ期待され続けることでその才能をいかんなく発揮したのでしょう。
1/20 | F4.5 | 8mm | ISO100 | +0.7EV
1/10 | F4.5 | 8mm | ISO800 | -0.3EV
「このレンズだけの特別な画」
「使いこなしは難しい」
「このレンズでしか得ることが出来ない特別な作品を1枚でも多く残して欲しい」
という開発者の思い、いま噛み締めています。
確かにこのレンズでしか撮れない画があります。画にするのはとても難しいのもまた事実ですが、その画角そのパースペクティブに挑戦したいという写欲が溢れてきます。きっと撮り手のそんな気持ちを知ったら、開発者は快哉を叫ぶことでしょうね(^^)やったぞ!ってね。
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