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2012.05.09

グラファイトでプレーすることに憧れた

名門終焉か

テニスラケットのプリンスが破たん…販売不振で(読売新聞)

GW後半スタート直前の5/2にこんなニュースが流れました。

ボクがテニスを始めた頃にラケットメーカーとして産声を上げ、登場と同時にテニス界に革命を起こしました。そして今や押しも押されもせぬ名門に育ったのに....なんともショックでした。

プリンスはいわゆる『デカラケ』を作ったメーカーで、HEAD創始者のハワード・ヘッド氏が.....もう有名なエピソードですから省きます。

[PDF] 40年のステイタス! / テニスジャーナル「ラケットブランドの横顔」

こんなPDFファイルがネットにアップロードされていました。ヴァン・パタン、パム・シュライバー、カーリン・バセット.....同年代のテニス愛好家が懐かしくて涙が出そうな選手が多く紹介されています。ご一読あれ。

とにかく木製の重たくてフェイスが小さい(70sq.)ラケットがまだまだ主流だった時代に...

アルミ製で規定ギリギリまでフェイスを大きく(107sq.だったか110sq.)したデカラケを市場に投入したもんだから、そりゃ大騒ぎになりますわな。

賛否両論渦巻きましたが、『テニス』というスポーツの難易度を一気に大きく引き下げてくれたのが、プリンスのデカラケだったことは事実であります。

プリンスのデカラケが登場して、それまでのテニスの常識がどんどんと覆されていきました。打ち方もプレースタイルも。そしてそれがスピーディーでパワフルな現代的なテニスに繋がっているんですな。

黎明期には木製のデカラケも作られ、また人気も博してました。ウッディーに天然シープ(死語)を張って打ったら最高だったでしょうね〜。このウッディーは全盛期のピーター・マクナマラが使ってましたよね。

そして現代の新素材競争(狂騒)を予感させる、ダイヤモンドに次ぐ硬度を持つボロン素材のデカラケまで作ってましたっけ。実に当時の販売価格は15万円だったと記憶しております。ビジターとして成城のテニスクラブで金持ちの友人とプレーしていたら、黒沢年男さんがボロン2本を携えてふらっと現れ、短時間だけ一緒にプレーさせていただいた想い出があったり( `ー´)

まぁ何と言ってもコレですよね、グラファイト。このラケットを作ったからこそプリンスは、キワモノとして終わらずにラケットメーカーとして大きく成長したんですよね。

グラファイトへの憧れはこのブログで何度も書いてますから割愛しますけど、往時を知るテニス愛好家ならこのプリンス・グラファイトがウイルソン・プロスタッフと並んで特別なラケットであることは共感していただけるのではないでしょうか。

名器

連邦倒産法第11章 wikiより転載】再建型倒産処理手続を内容とするものであり、債務者自らが債務整理案を作成し債務者主導の再建が可能である(いわゆる「DIP型」)点で、日本でいう民事再生法に相当する。

破綻はしたけれど、債務者主導の再建が可能な日本の民事再生法に相当する『連邦倒産法第11章』を申請したということですから、プリンスというラケットメーカーが消滅するということではありません。

あくまで事業継続を前提にした申請であり、「Prince」社ではすでに新しい投資会社と連携し諸手続きを進めている、との報告を受けています。

プリンステニス用品の販売に関するお知らせ / 2012.5.7 グローブライド株式会社

初期からプリンスの国内販売ライセンスを持っているグローブライド(旧ダイワ精工と言った方が愛好家には通りが良い)も、こう発表してますしね。

個人的にラケットメーカーはプリンスも含めて製品サイクルが短すぎると思うんです。このプリンスの一件を境に『良いラケットを作って長く売る』っていうメーカーが増えても良いと思うんですよ。

「ド素人が何を言ってんだ!年に一回全豪後に買い替え需要を喚起しないと、立ち行かないんだよ!」っていうこともあるのかも知れません。

でも木製からアルミ、グラスファイバー、カーボン、グラファイトに移り変わった頃とは違うでしょ?もう新素材導入で変わる打球感なんて誤差みたいなもんですよ。フレームに穴をあけたり形状を変えたりっていうギミックも悪くないですけど、モデルチェンジのネタにするだけなら....ねぇ。

いやまぁ何十年も名器とされ愛用され続けるプリンス・グラファイトを持ってしても破綻するんですから、まったくもって保守的で後ろ向きで的外れなオッサンの意見だとは思いますけどね(ーー;)

そうだ、買い替え需要が本当にメーカーに必要なら、モデルチェンジではなく1年ぐらいでラケットの腰が抜けるように作れば良い。その代わり腰があるうちは今まで以上に極上の打ち心地を提供してくれるのが大前提だけどね。

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コメント

プリンス、破綻しちゃったんですね。
その昔テニスをしていたときは、グラファイト、グラファイトLBと愛用していました。
今調べてみたら愛読していたテニスジャーナルも休刊になってしまったようだし、しばらくテニスから離れているうちにいろいろと変わってしまったようです。

投稿: のんくり | 2012.05.10 05:28

■ のんくりさんへ

おぉ〜〜〜!グラファイト愛用のハードヒッターだったのですね!素晴らしい!

そして愛読されていたテニス誌がテニスジャーナルなのも通ですね!伝統の分解写真による指南書的側面もありましたよねTJ!

TJの分解写真を見てプロのフォームを真似したものです。

投稿: 丁稚 | 2012.05.10 07:35

テニスジャーナルは松原雄二さんや丸山淳一さんが解説をしていた頃はとても良かったのですけど、DVD付きになった頃から残念になってしまいました。

投稿: のんくり | 2012.05.10 09:19

■ のんくりさんへ

>> DVD付きになった頃から残念に...

もうその頃にはテニス誌を買ってませんでしたけど、すごく分かる気がします。活字とスチル写真が動く映像に迎合した感じがして、ちょっとガッカリもしました。

投稿: 丁稚 | 2012.05.10 19:16

この記事へのコメントは終了しました。

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