『八日目の蝉』 〜 ナマのオンナの妄想
読んだことを後悔した。どうしようもなく出口の無い物語だった。
この小説が映画化されているぐらいのベストセラーだったのは、井上真央ちゃんと永作博美の表紙を見て分かったし買う時の動機付けのひとつにもなったんだけど、「売れた本=万人受けする本」とは限らないんだなと。
「母性」をテーマにした....
そうなのかな?確かに著者はそれを書きたかったのかも知れないな、でも読んでいて母性を感じさせてくれるエピソードが自分にはひとつも無かった。どこまで行っても母性とは正反対の大人の都合で幼い子供は尊重されず置き去りのまま。
世の女性(男性も)の多くがこの作品の母性に胸を打たれ涙し評価したのは事実だけれど。この作品を書くことで著者自身が何かを得ようとしたのかも知れないし、捨てようとしたのかも知れないなと思った。
★☆☆☆☆
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いやちょっと待て。
坂東眞砂子に始まり女性作家の作品を読んではもっともらしくしたり顔で嫌みったらしいことを書いている自分はどうなんだ?
女性がいつまで経っても折り合えず理解出来ない存在だから忌避したい気持ちがある一方で、柔らかくしなやかで優しくて強い女性に甘えたいという気持ちの発露なんじゃないか?
自分が思い描く理想のヒロインを登場させてくれる女性作家に出会えていないということなんだろう。そしてそんな願いがただの甘ったれだということをそろそろ知った方が良いのかも知れない。オンナが自ら描くオンナはオトコが描くファンタジーのオンナとはまるで違う....ナマのオンナだから。
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