『風立ちぬ』 〜 美しくも壮絶な絵コンテに魅せられて
商店街の夜店の準備で遅い帰宅、ひとっ風呂浴びて深いため息を吐き出しながらチューハイを飲んで、何とは無しにTVを点けると...
プロフェッショナル 仕事の流儀 『宮崎駿スペシャル 「風立ちぬ」1000日の記録』
こんな番組をやっていた。たしか以前の作品にもこうした密着番組があって、すごく興味深く見た記憶があったので、さっさと一杯飲んで寝るつもりがすっかり見入ってしまうことに。
「面倒くさいっていう自分の気持ちとの戦いなんだよ。何が面倒くさいって究極に面倒くさいよね。」「くたばっても絵コンテだけはできていたっていうふうにしないとみっともない」
絵コンテを描きながら「ああ面倒くさい。こりゃ面倒くさいぞぉ」と繰り返しつぶやき、足を揺すり髪を搔き毟りタバコに火を点ける宮崎駿氏。
全くの『無』からひり出す物語。彼が作った絵コンテに何十、何百、何千という人間がそれぞれの人生を懸けて携わり、最後に映画という作品となる。
今この瞬間に描く絵コンテに多くの人間の生活がかかっているのだ。自分の才能全て、生きてきた人生全てを、絵コンテのエネルギーとして消費しながら、その重圧と立ち向かう壮絶な作業だった。
そしてその絵コンテが圧倒的に美しいのだ。軟らかな鉛筆と薄い水彩で描かれた粗い絵はすでに表情を帯び、叙情を生んでいた。「ああすごいなぁ」と素直に感動した。
どうしてもあの素晴らしい絵コンテの先、彼らの仕事の集大成が見たくなって映画館に足を運んだ。
白い飛行機が空を舞うシーンで手のひらを飛行機に見立てていた宮崎駿氏を思い出し、主人公の声を聞いて番組で子供のようにはしゃいでいた宮崎駿氏を思い出し、彼が言う「気配」というものに目を凝らしたりもした。そして主人公とヒロインの関わりを見て、女の子の生き様を主題に描いてきた宮崎駿氏の変遷に思いを寄せた。
宮崎駿、枯れない泉......まだまだ彼の生き様を見せてもらいたい。
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