火花
芥川賞を受賞する前後でしたか、一気にこの作品が書店でもネットでも買えなくなって、興味はあったけどそこまで読みたいとは思ってなかったのに、品薄っていう状況に飢餓感を煽られまして重版されたタイミングで手に入れて読み始めてみました。
この作品は芸人又吉の長々と回りくどい自己紹介?それとも上梓した後の綾部の軽口も含めたネタ振り?読書好き芸人やら元大阪府代表SBやらと持ち上げられ、相方は熟女好きやらペニオク騒ぎでこき下ろされ、お笑い以外でクローズアップされているピースの現況に対する又吉の壮大な言い訳?
でも師匠である先輩を探して246沿いを歩いていて、数珠繋ぎのタクシーに喰われると感じる場面では心がググゥと重たくなった。首都高がドンと覆い被さる246号線の閉塞感、どんよりとした薄暗さと息苦しさ、無機質にせわしなく行き過ぎるクルマ、路肩には表情をなくしたドライバーが客を待つ。
ああ文学なんだなと感じた。全編、常に明日への不安が切々と描かれている。住み慣れぬ街でいくつかの支えを失っていく若者....。でも10年後、熱海の花火の晩、また何かが?
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