小説『言の葉の庭』
土砂降りの中を靴も履かずに這いずり回るような生活をしていた27歳の雪野を救い出したのは、ボロボロと涙を零しながら心の底から気持ちを真っ直ぐにぶつけてくれた15歳の孝雄でした。孝雄は雨の日に現れる太陽でした。
求め合うふたりの間に横たわる歳の差や立場の差を、孝雄は急がずゆっくりとそれでいて力強く踏み越えていきます。そして5年後、孝雄と雪野は再び思い出の公園で待ち合わせます。
小説『言の葉の庭』は映画よりもゆったりと時が過ぎていきます。小説を読んでから映画を再鑑賞したら、東屋の場面なんてとくに早回しのように感じました。きっとこの作品に流れる時の流れは小説の方で正しいのだと思います。
雪野と孝雄を取り巻く人物たちも語らずに、ただせわしなくストーリーを転がしていく映画は、小説の単なるダイジェストに感じるくらい。もどかしさも消えて、青空が次第に広がっていくように笑顔で読み終えました。読んでよかった。
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