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2016.09.19

小説『秒速5センチメートル』

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我ながら熱しやすいミーハーだ(^_^;)さてどれから読もう。うん、やっぱりページ数の少ない本からだよな。


小説 秒速5センチメートル (角川文庫)


読んでよかった。

新海誠自身がノベライズしたこの作品を読んで、映画を観て激しく揺さぶられた心が少し安定し、抉られた心も少し癒やされた。そして2つのことについて自分語りしたくなった。

ひとつめは『初恋』との折り合いについて。私自身も初恋に対する扱い方は、作中の貴樹くんと同じ。いつまでもグジグジと、そしてこれからもずっと堂々巡りにさせて大切にしてしまうのだと思う。

「あの時、◯◯していたら、どうなっただろう?」ふとした時にそんなことを考えている自分がいます。タラレバを30年も。

初恋は制御が効かない。寝ても覚めてもその娘のことばかりを考え、日に日に「好き」という感情を自分勝手に積み上げて、胸が締め付けられてもどかしくて苦しくてどうしようもなくなってしまう。

他人を死ぬほど好きになるという初体験は、幼い自分を暴走させ「相手も自分と同じだけ好きになって欲しい」という自己中心な願望となり、そんな叶わぬ願いはいつか弾けて、自分の中にいつまでも消えない傷跡として残る。

初恋に破れたあと、何度恋愛をしても、生涯の伴侶を得たとしても、初恋の人は常にあの時のままの姿で記憶に残り、そしてあの時の胸の苦しみは瞬時によみがえる。いつまでもそれに執着するのは、よき思い出にできない自分に残る幼さなのだろう。

ふたつめは『自分の居場所』について。

作中の貴樹くんは、いつでも自分の居場所にどこか違和感を覚えていたように感じました。これもすごく共感を覚えました。人生の半分を消化した自分も常に自分の居場所を探しながら生きている気がしたからです。

「自分はここにいるべきなのだろうか?自分はどこにいるべきなのだろうか?」生活の場でも、仕事も、恋愛も、時に切り拓いたり、時に流されたりしながら、多くの人が確証を得られないまま生きているんじゃないだろうか。

『初恋』に執着し『自分の居場所』に迷う作中の貴樹くんは、自分の分身のようでした。「あなただけじゃない、わたしもいっしょです。きっとみんなもいっしょだとおもいます」と新海誠に、そう言ってもらったような気がしました。

一方の明里ちゃんは『初恋』の人である少年時代の貴樹を自分の一部として認め、迷いなく貴樹とは無縁の『自分の居場所』に進んでいきました。「あなたの初恋の相手も.....ね、きっとそうですよね。お互い頑張りましょう」と苦笑いしながら激励してもらったような気もしました。

まったく感想文にならないけれど、『秒速5センチメートル』は映画も小説も忘れられない作品になりました。

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